午後から、二組の御夫婦がこの旅程に参加してきた。私と、二組の夫婦と、ケリア、運転手、の計8人を乗せて、バスは出発した。
いよいよアンコールワットの観光である。アンコールワットは水深2メートルくらいの堀に囲まれており、その堀を越える橋が二箇所ある。西が正面で、その橋の入り口で、チケットチェックを行っている。
ここに到着する前に想像していたのは、入り口にはきちんとゲートがあり、不正入場は出来ないようになっているのだろうと思っていたが、実際そこに行ってみると、特に何のゲートもロープもあるわけでなく、ただ現地の人が、参道に入ろうとする人に声をかけて、チケットをチェックしているだけだった。観光者の人数が増えたら明らかに対応できなさそうだ。
堀を渡る橋は、長さが200メートルほどあり、それを歩いていくと、西塔門にたどり着く。西塔門のそばまで行くと、中央祠堂(代表的な、先がとんがっている建物)は一旦見えなくなる。

▲堀の外から眺めたアンコールワット
▲堀を越え、西塔門へ向かう(mpegファイル/3.0MB)
西塔門をくぐると、再び視界が開ける。参道がまっすぐ伸び、その先に中央祠堂がそそり立っている。観光客の数はそこそこで、中には、橙色の衣をまとったお坊さんもちらほら見かける。

▲(左)アンコールワット中央祠堂とお坊さん / (右)スケッチしている人

▲復旧中の経蔵。復旧には日本も協力している
参道を途中までいくと左に池が見えた。その池の前に立つと、中央祠堂が池に写って見える。記念写真の名所である。私は同行したご夫婦のうちの一人に、ケリアとツーショットで撮影をしてもらった(下)。

記念写真の後、私たちは、池を左に迂回し、第一回廊の角から中に入った。

▲第一回廊へ向かう(1.9MB)
▲日本人が1600年頃書いた落書き
第一回廊に入ると、そこはバイヨンに引き続き、見事なレリーフが私たちを待っていた。バイヨンのレリーフが人々の生活の様を彫り刻んでいたのに対し、アンコールワット第一回廊のレリーフは、宗教的な物語が詰めこまれていた。
神々の戦いや、天国の様、地獄の様が、動画のように繰り広げられている。
「マハーバーラタ」や「ラーマーヤナ」の物語を良く知っていれば、理解が深まるもので、ケリアがかなり仔細に描かれている物語を説明してくれたので、十分に楽しめた。

▲第一回廊のレリーフ(1.4MB)
第一回廊を見て回る途中で、1600年頃に日本人が書いた落書きも見物。その後、第一回廊と第二回廊の間に出た。建造物と建造物の間、急に静かになり、鳥の鳴き声が急に耳に届くようになった。ふと見上げると、お坊さんが二人、第二回廊の高みに立っていた。その姿がとてもまわりの景色にマッチしていて、ああ、ここは宗教建造物なのだなぁ、という感慨を改めて得た。

第二回廊に入るには、急な階段を上らなければならなかった。人肌より温かい石に手をつきながらそれを上りきると、さらに、中央塔を包み込む第三回廊の急な登り階段が立ち現れてきた。

▲第二回廊に入るための急な登り階段(3.5MB)
階段をのぼりきると、そこはアンコールワットの中心だった。観光客がたくさんいたのが少しもったいない感じがした。クメール王国が栄華を誇った時期には、おそらくこの場所に立ち入れる人は極めて限られた人で、その場所に、何百年もたったこの今、同じように立てることがなんとも不思議だった。
感動というよりは、不思議な感じ。今まで体験したことのない現象に出会い、それが自分の心の中でどこかに整理できそうだが、どこにも整理できる場所が無い感じだった。

▲中央祠堂(2.4MB)
アンコールワットの急な階段を下りながら、良く体力が持ったな、と、これもまた不思議だった。この空間に足を踏み入れ、何らかの化学反応により、ノルアドレナリンが供給されたのだろう。
|